掘散文(エッセイ)

掘散文【何かひとつ誰にも負けないことを持て】

「何かひとつ誰にも負けないことを持て」

この言葉は地質調査をする前にしていた料理屋の料理長から言われた言葉だ。

1年間しか勤めていなかったけど、自分はこの会社で社会人とか、働くこととはどういうことなのかという、いわゆる社会の厳しさについて教えていただいた。(今思えば仕事の面白さも)

この料理屋での経験をせずに地質調査に入っていたら、自分の実力に気が付かず、仕事への姿勢も一般常識も無い、今よりもっとしょうもない社会人だったと思う。

料理長はとても個性的な人だった。

酒と女性が大好きで軽い感じなのに、こと料理に対しては、一般メニューだろうが、まかないだろうが手を抜かず、いつも探究しながら楽しそうに作っていた。

そんな料理長が何度も自分に対して言っていたのが「何かひとつでも誰にも負けないことを持て」だった。理由はそしたら仕事が面白くなる...だった、ような気がする。

ちなみに料理長は、海老の皮むきの速さなら誰にも負けないと言っていた。(海産物の下処理は俺はあまり好きになれなかった)

料理の仕事は辞め地質調査を始めて見習い期間の時に、料理長に教わった誰にも負けないことを探していた。

それは時にパイレンの扱い方だったり、デリバリーホースを巻く速さだったり、返事の大きさだったり、身の回りのできることの中で誰にも負けないことがないか意識してきた。

デリバリーホースを綺麗に早く巻く速さはあの頃の俺は全国区だったと思う。

誰にも負けないことと思える作業には少なからず才能が関係してくる。

負けない事選びをする際に1番大事なのはやっていて苦しく(身体的、精神的)ないかどうかだ。

苦しいと感じるような作業ではきっと全国区は目指せない。

俺の場合は地質調査が性格的に向いていたらしく、服も汚れるし割ときつい仕事が多いけど作業全般に大きな苦しさを感じなかったので、ひとつひとつの作業を毎日の仕事の中で極めるという意識で仕事にあたっていた。

そうやって作業していると、しばらくすると本当に先輩よりパイレンかけるのもホースを巻くのもロッドを繋ぐのも早く正確になり、先輩の実力を追い越すようになる。

そうすると、俺ってできるのでは?俺でもできるんじゃない?!と自信を得て、少しずつ少しずつ、難しい仕事ができるようになっていく。

今、思い返すと「誰にも負けないことを持つこと」のメカニズムが理解できる。

そして現在はボーリングオペレーターには成れたわけだけど、もちろんこれがゴールではない。

最近忘れていたけど、きっと今も続いてる

オペレーターとして、先輩として、職長として、誰にも負けないことを持っていたい。

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