
どうもボリーです。
コアチューブやケーシングのメタルを注文する際に、メタルのチップの種類を指定して注文をします。
調査ボーリングで主に使用するチップの材質には「H1]「G1」「G2]という種類があり、この種類は簡単に言うと、切れ味と耐久性のバランスで分かれています。
「H1]は切れ味がよく、耐久性が低い。
「G2」は切れ味はわるいが、耐久性が高い。
「G1」はH1とG2の中間の性能で、バランスがよい。
これらの種類のメタルチップを、コアチューブやケーシングの用途に合わせて選定して使います。
上記の種類は一般的なものなので、メーカーに相談すれば他の種類や、細かい特注もできます。
ここまでは基礎中の基礎知識で、ここからは、このチップの材質についてもう少し詳しく調べたことをまとめてみる。※間違ってたら、コメントで教えてね。
そもそも、あの番号はなに?材質は何?
上記で説明したような基礎知識と、使用方法は分かっていても、「H1」とか「G2」が結局なんなのか知っているだろうか?
何か?と聞かれると、実は自分もよく分かっていないので、「H1」とか「G2」って、そもそも何?どういう意味?あのチップは何なんだ??というところから調べてみることにした。
「H1」や「G2」というワードを入れてネットを検索してみたところ、「H1」は共立合金製作所のエバーロイといいう商品で、「G2等」(G1.G3なども含む※以下Gシリーズ)は同じくエバーロイの商品と、日本タングステン株式会社のニッタンロイの商品であることが分かった。
そして、この商品(H1、Gシリーズ)は「超硬合金」であることが分かった。ただの鉄、ではないのだ。
超硬合金を取り扱う同じような会社は他にいくつもあったが(住友、三菱、京セラ他...)ボーリングで使用する材種(「H1」や「G2」等)を扱っているのは、この2社のようだ。(※ボリー調べ)
ちなみに、超硬合金材は上で挙げた商品のように「○○ロイ」という名前が付けられていることが多いのですが、「ロイ」は英語で「alloy(合金)」に由来しているようです。
超硬合金について
つまり「H1」や「G2」とは、コアチューブやケーシングのメタルチップに使用する超硬合金のグレードです。
超硬合金とは、人工的に作った合金で、成分はタングステンカーバイト(主成分)とコバルト(結合剤)という金属からなります。
超硬合金は硬度が非常に高く、硬さはダイヤモンドに次ぐレベルです。加えて耐熱性が高いことも特徴です。
少しずつメタルチップの真の姿に近づいてきましたが、まだまだ本当の姿は見えません...次は「成分」について調べていきましょう。
成分の割合
超硬合金は基本、タングステンカーバイト(タングステン+炭素)が成分の主体で80~90%を占めていて、コバルトが5~20%程度の割合でできています。
タングステンカーバイトの役割は硬度と耐摩耗性にあり、主に掘削能力を担っています。
コバルトの役割は結合剤としてタングステンカーバイトの粒子を固め靭性(割れにくさ)を向上させています。
そして一般的にはタングステンカーバイトの含有量が多いほど、硬度は高くなり、コバルトの含有量が少ないと靭性が低下します。
そして、これらの硬度や靭性を数値化したものが、グレードになるわけですが、「H1」や「G2」にはまだたどり着きません。。
JIS(日本産業規格)
ボーリングポケットブックのビットの説明の箇所に強硬チップの数値化された表が記載してありますが、そこにある使用分類記号には「E1」「E2」と、「E」の付く見慣れない数字が記載されています。
一方、ネットで「H1」や「G2」と調べると出てくる分類表もあります。
どれが、なになのか?と、いよいよ迷宮入りかと思いましたが、調べてみると、この謎は二種類のJIS規格による違いであることが分かりました。
JIS規格とは、日本の産業製品などに関する国家規格で、作業で使う様々な製品には規定があります。
そして今回の超硬合金の謎に関係する、一つ目のJIS規格がこちらの
「JIS M3916鉱山工具用超硬チップ」
この規格での分類が「E」の付くもので、ボーリングポケットブックに使われています。
次に
「JIS B4054耐摩耗工具用超硬合金の材種選択基準」
この規格では材種分類記号に「VF」「VM」「VC」などが使われています。
そして、この分類中の「VM-20.VM-30」などの「VM種」に当てはまるのが、※1ニッタンロイやエバーロイが取り扱う「H1」や「G2」であることが分かりました。
簡単に材種を照らし合わせると以下のようになります。
VM-10 → 「H1」
VM-20→ 「G1」
VM-30→ 「G2」
※エバーロイ素材一覧から引用
※1ニッタンロイ素材とエバーロイ素材は同じではないと思われる。(重要)
ついに「G1」や「G2」がなんなのかが判明しました。
つまり答えは、「JIS B4054耐摩耗工具用超硬合金の材種選択基準」に適応するエバーロイという超合金のグレード!
やっとたどり着いた!!
硬さ数値(HRA)とタングステンカーバイトの粒度(μm)について
今回の記事を作成するにあたり「JIS B4054耐摩耗工具用超硬合金の材種選択基準」という資料を参考にしました。
※参考資料「JIS B4054耐摩耗工具用超硬合金の材種選択基準」
インターネット上で、上記の資料を探して見てもらうと、ここまで書いてきた内容の他に、まだまだたくさんの情報があることが分かります。
その資料の中で、ここまでまとめてきたのに、これだけは無視できないといえる事が二点あるので紹介させてください。
硬さ(HRA)
硬さ(HRA)とは、ロックウェル硬さ試験の「Aスケール」で測定された、硬さの単位で超合金の硬さを示すようです。
例えば「G1」でいうとHRA92以上93未満と決められています。
WC粒度(μm)
WC粒度(μm)とは超硬合金の主成分であるWC(タングステンカーバイト)の粒子の大きさをマイクロメートル(μm)単位で表したものです。
一般的に粒度が細かいと硬度が高く、粗いと硬度は低下します。
普段よく使っているメタルに付いている、小さいメタルチップの中に、こんなにも多くの(まだまだ知らないことだらけ)モノの組み合わせがあると知ると、今後チップに対する見え方が変わりそう。
さいごに
「H1」や「G2」や「タングステンカーバイト」などについての謎が解けました!!分からないことを調べて、分かるようになると、とても気持ちがいいですねっ!
今記事は全体的にボリー調べですので、確実で安全なことが知りたい人は自分でも調べてみてくださいね。
調べ物がしやすくなったとはいえ、ネットでも、AIでも、色々見ながらまとめたので、書き終えるのにずいぶん時間がかかってしまいました。
それでも、時間をかけて謎に迫る感じや、学びに繋がる記事が作れて楽しかったです。
今後はこんな記事もまた作っていきたいです。
参考資料
「JIS B4054耐摩耗工具用超硬合金の材種選択基準」
「JIS M3916鉱山工具用超硬チップ」