
雨、くもり 9-3°
慣れてきた腕時計のバイブレーションに気が付いて、父からの電話に出た。
出社するために家を出ようという時間にかかってくる連絡にロクなものはないので緊張しながら言葉を待つ。
助手さんが父に電話をしてきて
家族の体調が悪いから病院に連れて行ってから現場にいきたいと要望があり、承諾したから今日の作業は朝から2人だ。ということだった。
はいはい、とクールを装って了解しながら、実はまだ着替えていなかったパジャマを脱ぎながら、助手君の行動の不可解な点を解き明かすためだろうか、頭の回転が自然に上がった。
会社についてすぐ、ユニックを作業場へ出して、足場仮設と機材搬入をする為の積み込みを始めた。
降っていることが分からないくらいの雨が降る中、朝の暗いうちに降った雨でびちゃびちゃに濡れた作業場に足場材を並べて置いて、ワイヤーを掛けて積み込みの準備を進める。
ミンナサボリヤガッテ
身体に触れた小雨がおれの怒りで蒸発していた。
さぁ、用意した荷物を積むぞ。という時に、父登場。
昨日の感じでリズムやノリのような空気感を理解したので今日はこれでやったりますわ。みたいな設定にしてきてるなと勝手に感じる。(決めつけてはないけどそんな感じがするんだからしかたない)
でもこれは、僕からしたらありがたいことだ。なんというか、まだ父に、あれだこれだとは言えないから、父に合わせて調整する方が楽だ。
あれこれ言い合いながら準備して、現場へ出発。
到着して、昨日の続きからモノレールを数本設置して、モノレールを張り終えた。
父は昨日よりあれこれ言うし、なんなら僕の1意見に対して1意見言ってくる。
貴重な交流だから嬉しい反面、やり方の違いと、自分の想定と違うやり方の作業のリズムに付いていくのにちょっと疲れる。(貧弱になったものよのう、助手時代の自分が見たら軽蔑するぞ虚弱野郎め)
それでもこうして父と作業している時は、初心に戻れるし、今現在の関係の変化を感じながら作業できるから、すごく有難い時間だ。
父もきっと同じ気持ちだからこそ、何かを言ってくれようとしているんだろう。(最近は少ないから寂しいけど、多いと鬱陶しい、今がちょうどいい)
ピンポーン!
昼前にLINEで助手さんから連絡が入る。
”今から行きます”
フン!とスマートウオッチの通知だけ見て確認をして、わざと気にしないようにして、作業に戻った。
昼休憩に、ご飯を食べた後、眠たかったのですぐに横になった。車の中でも寒いからジャンパーを着て、首にはネックウォーマーをして、ニット帽を瞼の上まで深く被り、寝るモードに入る。
急にドアが開く。
あ、あの、迷惑かけました。着きました。すぐにドアが閉まる。
助手くんが到着したみたいだ。あいつよぉ、眠りにつくって時によう、こういうとこだぞまじで。。
ムカムカしだしたらもう寝られない。
それでも目を瞑る、寝られないまま13:00前がやってくる。
水筒の熱い番茶を熱いまま飲み込んでやってから、ドアを開けて外へ出る。
助手くんがいる。
助手くんがいる午後の作業は、助手君と自分で足場組み、父はホース設置。
次の機材搬入のときは父が下から機械を送って、上側の調査ポイントで自分が機械組み。
今日の作業はよく進んだし、身体は限界です。
精一杯動いたということにしてください。
会社へ帰った。
ユニックの荷台の上の現場で使わない資材を降ろしてから、ユニックを車庫へしまう。
いつもなら、じゃあ明日ねー。と解散だけど、助手くんに話を聞かなきゃあいけない。
ここからが今日1のドラマだったんだけど、掘跡はその日の僕のエネルギーの限界の中からお送りしておりますので、ラストシーンまで割愛します。
助手くんと5分くらい話をしました。
「変な嘘はつかんようにするよ」
「それは、頼むよ」
いい孔掘れますように。