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多能工と地質調査(2)

どうもボーリング技術者のボリ・ボリーです。
今回は前回の続きで、多能工を調べるうちに地質調査は昔から多能工なんだと感じ、そう感じたのは今までの私の環境や経験も関係しているということに関して掘っていきます。

まず私自身が会社から地質調査屋はなんでもできなければいけないと教育されてきたのでスキルアップ、技術力の向上を強く意識して過ごしてきました。
そして「多能工」は一日で成るものではなく、できる範囲から多分野の作業経験を積み個人能力をレベルアップさせて、それぞれに見合った作業をこなし、その結果として職人不足解消やコスト低下などにつなげていくものですから、私が普段からやっていることと同じことのように思いました。

会社の先代や先輩から教わった多くのことも地質調査は「多能工」と感じた理由の一つです。
先代や先輩はとても多くの作業ができます。
先代は架線や水上仮設や船を使う仮設もできたし、先輩は機械整備や溶接のような作業が得意です。
色んな現場の話も聞きました。先代はダムで潜ったとか、今の事務所を自分たちで建てたと言ったし先輩はそれを建てるとき、どれだけ大変だったとか週末に機械修理や溶接なんかをいくつもやらされたとか運搬車で山を登っていく過酷な道のりについてとか、たくさん経験談を聞いた。
そして、私にも色んなことができるようにとたくさんのことを仕込んでもらった(そのころは「なぜ自分がこんなことを...」と思っていた。今でも思うが)例えば先代の山に一緒に出かけて、雑木をチェンソーでひたすら伐採したり。休日に除草作業したり。事務所のペンキ塗りや大工仕事をした。
そしてそんな屋外作業の基礎を仕込んでもらった私ですが掘削技術と通常仮設以外たいしたことはできないが、専門書やネットから知識やノウハウを吸収したり、溶接などの道具を扱うための資格を取得して会社で練習して技術を磨いています。

そんな自分が、先日現場で多能工を実感したのですが、それは最高水深3m程度の水上足場がいくつかある現場でのことでした。
水深3mの水上足場となると地質調査技術者の場合、組めなかったり組まない方もいるので足場屋に頼むことも少なくない足場仮設のひとつです。
私は以前知り合いの足場屋に水上足場を教わる経験があったので、このくらいのものまでなら組めるので足場仮設~掘削~足場撤去~足場仮設と次々と移動し作業を進めました。このとき水上足場が組めなければ足場屋に発注することになり、手待ちがでたり、コストが上がったことでしょう。

数年前には掘削中に被圧地下水がΦ86mmのケーシングでGL+5m程度まで立ち上がるほど流出し止水することになりました。
このときは、大量の被圧水を止めるのに通常行う簡単なセメントミルク注入では無理と判断し注入屋に発注しました。
注入屋は圧力を加え瞬間的に止める方法でこれを止水しました。
この止水技術も自分で扱えればコストを抑えられることでしょう。

多くの技術を身につけるのは大変だし、それを扱うのはとても難しいです。様々な自然環境や環境配慮した中で行う作業は常にいつもと違うから、技術者は技術を身につけたからとか、前にしたことがある、というように驕ることなく最善を尽くす姿勢を持たなければならない。

「多能工」とは取り組みなのだが、それだけでなく技術者の気概や本質を顕在させるものでもあると感じる。(意味も一つではないとは)
今後は技術や気概と向き合った者たちが各業界を牽引していくのだろう。


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